国の累積債務1,000兆円時代における中学校での税教育

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抄録

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2013年8月10日の各紙朝刊は、国の借金が本年6月末時点で、初めて1,000兆円を超えたことを報じた。1,000兆円という金額は、日本の現在のGDP(約500兆円)の2倍であり、現在の国の税収(約40兆円)の25倍にもなる。この膨大な額の国の借金を日本の現役世代や生徒を含む将来世代は返還していかなければならない。このような現状を踏まえたとき、これからの学校における税教育(財政教育を含む)は、どのように行うべきであるのかを検討し、新たな税教育理論とそのカリキュラムを開発することが本研究の目的である。これまでの中学校社会科公民的分野における税教育は、基本的・理論的には均衡財政を前提としてなされてきた。しかし、1,000兆円もの国の累積債務が存在しているこれからの学校における税教育は、その返還が余儀なくされるため、歳入(税収)を増加させるとともに歳出を抑制する黒字財政を作り出すことを基本的・理論的に前提とせざるを得なくなる。これからの財政についての教育を受ける生徒は、自分たちの前の世代の日本人・日本政府が、なぜこれほどまでの累積債務を残すことになったのかという理由を是非とも知りたいであろう。また、この膨大な累積債務の返還を前にどのような財政と税制を作り上げたら良いか考えざるを得なくなるであろう。このような生徒の欲求を満たす財政の教育の理論とカリキュラムを開発する必要がある。本研究では、その試案を提案する。なお、本研究に対しては、日本学術振興会から科学研究費補助金(挑戦的萌芽研究)が支給されている(課題番号23653291)。

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