In vivoにおける口腔レンサ球菌の抗腫瘍活性

HANDLE オープンアクセス

この論文をさがす

抄録

我々は,これまでにToll-like receptor 2 (TLR2)のリガンドであるリポペプチドFSL-1がin vivoにおい てTLR2依存的な抗腫瘍活性を示すこと,また,口腔レンサ球菌の全菌体の認識にTLR2が重要な役割を果たして いることを明らかにした.そこで,本研究では口腔レンサ球菌の全菌体のin vivoにおける抗腫瘍活性を検証した.  8-9週齢のC57BL/6マウスの背部皮下にメラノーマB16F0を接種後,4日後及び9日後に,Streptococcus gordoniiの生菌あるいは死菌で免疫した.その結果,生菌ならびに死菌は共に腫瘍の増殖を有意に抑制した.さらに,2回目の免疫を行った翌日の脾臓ならびに所属リンパ節からリンパ球を採取し,ナチュラルキラー(NK)細胞と細胞傷害性T細胞(CTL)の傷害活性を調べた.生菌で免疫したマウスの脾臓ならびに所属リンパ節では有意に高いNK活性を示した.また,脾臓では有意に高いCTL活性を示したが,所属リンパ節では有意ではないが,活性化傾向を示した.さらに,2回目の免疫から6日後の所属リンパ節において,免疫抑制状態を惹起することが知られている制御性T細胞(Treg)ならびに骨髄由来抑制細胞(MDSC)の割合を調べた.その結果,生菌で免疫していた場合にTregならびにMDSCの割合が共に有意に減少していることがわかった.また,腫瘍周囲におけるTregの存在状況を調べたところコントロール群では移植腫瘍間や間質にTregが認められたが,生菌で免疫した群は認められなかった.  以上の結果から,口腔レンサ球菌の一つであるStreptococcus gordoniiの全菌体はin vivoにおいて抗腫瘍活性を有しており,その活性発現にはNK細胞ならびにCTLによる細胞傷害活性と,TregならびにMDSC数の減少による免疫力の亢進が関与していることが示唆された.

収録刊行物

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ