分子標的薬であるエベロリムスの関与が疑われた 抜歯1か月後に生じた後出血の1例
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抄録
エベロリムスは,哺乳類ラパマイシン標的タンパク(mTOR)を標的とする分子標的薬である.mTORはがん細胞およびT細胞などの正常細胞の細胞増殖や血管新生に関わっているため,エベロリムスは抗癌剤や免疫抑制剤として使用されている.一方で,血管新生阻害作用や細胞増殖抑制作用は,創傷治癒不全や術後出血を引き起こす.症例は74歳男性で,左側腎細胞癌および肺多発転移でスニチニブを内服していた.スニチニブ内服休薬後,近歯科医院にて右側下顎犬歯・小臼歯を抜歯された.抜歯22日後,エベロリムス内服を開始した.抜歯31日後,食事後に右側下顎犬歯・小臼歯部から出血を認め,近歯科医院では止血ができなかったため,当科を紹介され受診した.当科初診時,口腔内は凝血塊で充満しており,同部から静脈性の出血を認めた.抜歯窩を掻爬し,止血処置を行った.抜歯窩の治癒が悪かったため,止血処置5日後エベロリムス内服を休薬し,止血処置33日後抜歯窩が上皮化したことを確認し終診とした.エベロリムス使用者に対する外科処置では,創傷治癒不全による突然の術後出血が起こる可能性があり,上皮化が得られるまでは,注意深く経過観察することが必要と思われた.
収録刊行物
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- 北海道歯学雑誌
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北海道歯学雑誌 35 (1), 42-47, 2014-09
北海道歯学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050845763947086720
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- NII論文ID
- 120005476163
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- HANDLE
- 2115/57098
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- ISSN
- 09147063
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- IRDB
- CiNii Articles