ウメにおける自家および他家受粉雌ずいのトランスクリプトーム解析

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  • Transcriptome Analysis of Self- and Cross-pollinated Pistils of Japanese Apricot (<i>Prunus mume</i> Sieb. et Zucc.)
  • Transcriptome Analysis of Self- and Cross-pollinated Pistils of Japanese Apricot (Prunus mume Sieb. et Zucc.)

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抄録

ナス科,バラ科,オオバコ科の多くの種は S-RNase 依存性配偶体型自家不和合性を示す.このタイプの不和合性は雌ずい側因子(S-RNase)と花粉側因子(SFB/SLF)が座乗する S 遺伝子座によって支配されている.また,自家不和合性共通因子と呼ばれる S 因子以外の因子も配偶体型自家不和合性反応に必要であることが明らかになっている.そこで本研究では,ウメの配偶体型自家不和合性機構解明を目的として,次世代シークエンス技術を用いた大規模トランスクリプトーム解析を行った.ウメの受粉雌ずい,未受粉雌ずい,花粉から合計 77,521,310 個の配列が得られ,それらから 40,061 個の unigene が得られた.これら 40,061 個の unigene を query に,米国の国立生物工学情報センター(NCBI)の非冗長タンパク質データベース(nr)ならびにシロイヌナズナのタンパク質データベース(TAIR10)に対して,BLASTX 検索したところ,29,985 個(全体の 74.8%) の unigene が NCBI の少なくとも1 つ以上のデータに,また 27,898 個(全体の 69.9%)の unigene が TAIR10 の少なくとも1 つ以上のデータにヒット(E-value cutoff 値 1e-6)した.デジタル発現解析により,8,907の unigene が未受粉と他家受粉で有意に発現が異なることが,また 10,190 個の unigene が未受粉と自家受粉で有意に発現が異なることが示された.これらのうち,4,348 個の unigene は両受粉で共通であり,4,559 個の unigene は他家受粉で特異的に,また 5,842 個の unigene は自家受粉で特異的に発現が変化していた.さらに,両受粉で発現が変化していた unigene のうち,2,227 個は両受粉で発現が増加していた.しかし,ナス科で花柱側共通因子であることが示されている HT-B120K の相同遺伝子はトランスクリプトーム全体の中に存在しなかった.Prunus 属の配偶体型自家不和合性に特異な認識機構について考察した.

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