京都大学芦生演習林モンドリ谷集水域の林分構造

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タイトル別名
  • Stand structure of Mondori-Dani Watershed, Kyoto University Forest in Ashiu
  • キョウト ダイガク アシウ エンシュウリン モンドリタニ シュウスイイキ ノ

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抄録

天然林の動態を集水域単位で長期間調査する目的で京都大学芦生演習林, 上谷の一支流のモンドリ谷集水域に16haの調査区を設定し, 林分構造及び斜面系列に沿った樹種及び林分構造の変化について調査を行った。主な結果は以下の通りである。1) 胸高直径で10cm以上の木は, 集水域全体で51種, 8241本みられた。アシウスギが最も優占し, ブナ, ミズナラ, ミズメが続いた。胸高直径ではトチノキの149. 2cmが最大であった。2) 主な優占種の直径分布は陽樹も陰樹もほぼL型の分布を示した。しかし, 陽樹の小径木の生育場所は林冠ギャップに依存していると考えられ, 調査林分は様々な遷移段階のモザイクから成り立っているものと考えられた。3) 全調査木の約10%に傷害が認められた。またアシウスギでは調査木の37%がクマハギの被害を受けており, クマハギはアシウスギの重要な枯死要因となることが示唆された。4) モンドリ谷集水域では, 斜面系列に沿って優占樹種が連続的に変化した。斜面の下部では主にブナが, 中 - 上部では主にアシウスギが優占した。トチノキ, サワグルミは主に谷部を中心に出現した。5) 斜面系列に沿って林分構造は変化した。出現種数には大きな変化はなかったが, 本数密度や材積は斜面を上るにつれて増加した。これにはアシウスギの分布が大きく関与しているものと考えられた。

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