森林流出水の水質特性に関する広域的比較

書誌事項

タイトル別名
  • Extensive comparison of forest runoff water chemistry
  • シンリン リュウシュツスイ ノ スイシツ トクセイ ニ カンスル コウイキテキ

この論文をさがす

抄録

森林流出水の調査を冷温帯から亜熱帯にかけて, 計6地域13集水域において行った。森林流出水の水質について, Cl_-は海洋に近いほど, そして林冠が閉鎖するほど渓流水中の濃度が高くなった。NO_3_-は気候条件に起因するそれぞれの森林における植物-土壌間の窒素循環システムにより渓流水中の濃度が決定される。SO_4_<2->はNO_3_-濃度の高い地域では高濃度であるが, 同地域内の集水域で比較した場合, NO_3_-濃度の高い集水域ではSO_4_<2->濃度が低かった。カチオン総量とアニオン総量の差として計算したHCO_3_-は, アニオン総量の大部分を占めた。その生成は土壌深部に存在する置換可能な塩基量に依存すると考えられた。そして, アニオンの移動に伴い等量分のカチオンが移動し, 森林流出水の水質が形成される。森林流出水の水質の大部分は物理化学的なプロセスにより形成されるように見えるが, 生物的要因, つまり環境条件に起因する森林生態系の物質循環機構も, 非常に重要な森林流出水の水質形成要因である。

収録刊行物

被引用文献 (4)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ