胆道系‐病態生理: 4.術中胆道内圧測定法

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抄録

胆道の機能面での情報を得る手段の一つとして, 1913年Mallet-Guy, Caroliらが造影を併用したラジオマノメトリーを報告してからは, 各種の胆道内圧測定法が考案され実施されてきた. しかし, これらの方法はそれぞれ一長一短があり, 胆道の機能を把握するには今一歩で, 普遍性を欠いているために他の施設における成績との比較検討が不可能な現状にあった1). 1976年, 著者は普遍的な数値で表現できる新たな工夫を加えた胆道内圧測定装置を考案し, 可変式負荷胆道内圧測定法と命名した2). 本法を1, 200例以上の胆石症患者に実施してきた. 本稿では, とくに本法における正常値ならびに意義について解説したい. 可変式負荷胆道内圧測定法の工夫開発 著者は, Holter型注入ポンプを用いた富田らの方式3)(簡便法, 1974)を追試したところ, Holter型ポンプでは胆管が完全に閉塞してもモーターが空回りするため, 抵抗R値が高値にでる可能性があること, 富田方式では連結した胆管内挿入カテーテルの影響を受け, 抵抗R値が負の値を示す症例が生じること, 灌流量と灌流圧との関係が実際には曲線状になることもかなりあり, 直線の設定によっては抵抗R値や残圧P値の算出に主観性が入ること, 灌流量と灌流圧の変化の曲線型や計算上の残圧P値に意義が持たせられないこと, 計算上の残圧P値と実測残圧P値との間にずれがみられ, 極端な負の値を示す症例がみられること, などの問題点を見出した.

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