階層帰属意識の規定要因としての社会移動 : 主観的社会移動が捉える2 つの経路

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タイトル別名
  • Social Mobility as Determinants of Subjective Status Identification : Subjective Social Mobility Captures Two Paths
  • カイソウ キゾク イシキ ノ キテイ ヨウイン ト シテノ シャカイ イドウ シュカンテキ シャカイ イドウ ガ トラエル 2ツ ノ ケイロ

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抄録

本稿では主観的社会移動が階層帰属意識に与える影響を明らかにした。先行研究では階層帰属意識の規定要因として親と本人の階層の組み合わせ、すなわち社会移動が重要であることが明らかになっている。その研究によれば、親も自らも高階層である人々の階層帰属意識が高くなるという傾向が示されている。一方、社会移動が個人に与える影響を扱った先行研究では、自身の社会移動をどのように認知しているかという社会移動の主観的な側面が、社会移動の効果を媒介しているとの指摘もある。そこで、本稿では全国ウェブ調査データを使用して、客観的社会移動、主観的社会移動、階層帰属意識の関連を分析した。分析の結果、上昇移動者は高階層継承者と比べて階層帰属意識が低くなるという直接効果が確認された。その一方で、上昇移動者は高階層継承者と比べて主観的に上昇したと感じる傾向があり、そのように考えることが階層帰属意識を高めるという間接効果も確認された。社会移動と階層帰属意識の関連は単純なものではなく、社会移動が客観/主観の両方から別々に階層帰属意識を規定していることを明らかにした点に本稿の意義がある。しかし、下降移動者についての分析は十分ではなく、今後のさらなる分析が望まれる。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 36 1-17, 2015-03-31

    大阪大学大学院人間科学研究科社会学・人間学・人類学研究室

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390009224805406080
  • NII論文ID
    120005550101
  • NII書誌ID
    AN0020011X
  • DOI
    10.18910/51232
  • HANDLE
    11094/51232
  • ISSN
    02865149
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • IRDB
    • CiNii Articles
    • KAKEN

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