<総説>抗腫瘍性カルボキシメチル化(1→3)-α-D-グルカン類のカルボキシメチル基の分布ならびにそれらカルボキシメチル化多糖類の免疫調節作用について

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  • <Review>Distribution of Carboxymethyl Groups in Carboxymethylated (1→3)-α-D-Glucans and Immunomodulating Activities of Their Carboxymethylated Polysaccharides

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抄録

ヤナギマツタケAgrocybe cylindracea及びベニテングダケAmanita muscariaから得た直鎖状(1→3)-α-D-グルカン(AG-AL及びAM-APP)のカルボキシメチル化誘導体(AG-AL-CMS, AG-AL-CM1及びAM-APP-CM)中のカルボキシメチル基の分布, 並びにそれらカルボキシメチル化多糖類の免疫調節作用について紹介する。Α-D-グルカン(AG-AL及びAM-APP)はマウスにおけるSarcoma180固型腫瘍に対し殆んど抗腫瘍作用をホさないが, そのカルボキシメチル化誘導体(水溶性のAG-AL-CMS及びAM-APP-CM, ゼラチン様のAG-AL-CMI)は顕著な抗腫瘍活性が認められた。カルボキシメチル化誘導体(AG-AL-CMS, AG-AL-CM1及びAM-APP-CM)中のカルボキシメチル基の置換度と置換位置は我々が開発した方法によって決定された。その方法はこれらカルボキシメチル基のヒドロキシエチル基への還元によって生成するヒドロキシエチル化多糖の加水分解, 及びその加水分解物の還元アセチル化によって得られるアルジトールアセテート並びに1,2-ethylene-D-glucose誘導体のGC-MS分析によって行われる。これらの置換基はカルボキシメチル化(1→3)-α-D-グルカンと(1→3)-β-D-グルカンとの間で特徴的な分布パターンを示した。これらカルボキシメチル化グルカン類(AG-AL-CMS, AG-AL-CM1及びAM-APP-CM)の免疫調節作用は腫瘍免疫に重要な役割を演ずるマウス腹腔マクロファージを用いて評価された。腹腔滲出細胞中のマクロファージの割合はカルボキシメチル化(1→3)-α-D-グルカン投与後50%以上の増加が認められた。カルボキシメチル化(1→3)-α-D-グルカン類はスーパーオキシドアニオン, 一酸化窒素, 腫瘍壊死因子等の産生能, グルコース消費能及び酸性ホスファターゼ活性能等においてカルボキシメチル化直鎖状(1→3)-β-D-グルカン(CMPS)よりもマクロファージに対する高い活性能を示した。これらカルボキシメチル化α-D-グルカン類はマウス血清中において腫瘍退縮因子の誘導が見出されるが, この因子の誘導活性はカルボキシメチル化β-D-グルカンの場合よりも弱いものである。AG-AL-CMS, AG-AL-CM1及びAM-APP-CMの網内系貪食能はCMPSのそれと同等の値が認められた。我々が既に報告したCMPSとマイトマイシンC結合体の抗腫瘍活性に関する研究を基にして, これらカルボキシメチル化(1→3)-α-D-グルカン類は薬物送達システムにおける高分子担体としての有用性が期待される。

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