ヴェーバーの支配の正当性論の再考(2)ヴェーバーの行為論的社会学の方法論の整理・検証を通して

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タイトル別名
  • ヴェーバー ノ シハイ ノ セイトウセイロン ノ サイコウ(2)ヴェーバー ノ コウイロンテキ シャカイガク ノ ホウホウロン ノ セイリ ・ ケンショウ オ トオシテ
  • Reconsiderations on the legitimacy(legitimitat) of Weber's dominant theory(part 2)through the inspection about the methodology of Weber's act theoretical sociology

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抄録

type:Article

ヴェーバーの行為論的社会学は「個人の行為」のモーメント、「関係論・コミュニケーション論」的なモーメント、「社会組織論」的なモーメントの三つが複雑に絡み合いながら議論が展開されている。本稿では『経済と社会』旧稿の「経済と社会的諸秩序」「理解社会学のカテゴリー」を中心に、それら三つのモーメントを便宜上分けてヴェーバーの方法論を順次検証した。その結果、ヴェーバーの行為論は未分節・無構造な経験事象から分節化・構造化された経験事象まで、次の四つの行為論的事象が質的に区別されていることが分かった。 [1] ヴェーバーの行為論的社会学の基礎となる「ゲマインシャフト行為」の範疇には入らない『未分節・無構造な斉一的行動・大衆的行動』。 [2] 『諒解を伴わないゲマインシャフト行為』。 [3] 『制定律を伴わない「諒解」行為』。 [4] 『制定律を伴うゲゼルシャフト (関係) 行為』。 上記四領域のうち、ヴェーバーが行為論的社会学の方法論で詳細に論じているのは [3] と [4] である。一方、 [1] は明らかにヴェーバーが方法論的に排斥した事象であり、 [2] は一応、ゲマインシャフト行為であるので、彼の方法論の辺縁にはかろうじて位置しているものの議論の内容は [3][4] に比べていかにも曖昧である。 [3][4] は制定律の有無は別にして、いずれも行為や社会秩序の構築性にかかわる事象や出来事である。 [1][2] は [3][4] とは逆に行為や社会秩序の「革新」にかかわる未分節・無構造な群衆的出来事にかかわっている。つまり、四つの体験領域においては、 [1][2] / [3][4] という形で質的な解離が存在しており、ヴェーバーの方法論には〔構築性 ( 分節化・構造化された事象 ) /脱構築性 ( 未分節・無構造な事象 ) 〕の隠された二重性が存在する。この方法論の二重性は前稿で明らかにしたヴェーバーの「支配論」の二重構造( 支配の正当化/支配の正当性 ) にそのまま重なるものである。

収録刊行物

  • 現代福祉研究

    現代福祉研究 15 37-85, 2015-03-01

    法政大学現代福祉学部現代福祉研究編集委員会

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