<論文>障害者福祉政策の政策決定過程における障害者団体の動向 : 自公政権下における障害者自立支援法の成立とその修正の過程を事例として

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タイトル別名
  • <Article>Decision-Making Processis of Social Welfare and Interest Groups for the Disabled

抄録

本稿は、障害者自立支援法の政策決定過程と、自公政権下で実施された二度の修正、そして審議未了で廃案となった三度目の修正の過程を検討したものである。とくに、主要な障害者団体の動向に焦点を当て、政策過程の背景にある当事者団体と政治エリートの間の相互関係を記述した。障害者自立支援法の政策決定過程では、厚労省の幹部が一部の障害者団体の理事会に出席したり、シンポジウムに参加したりすることで、一部の障害者団体から政策への支持を取り付けることに成功した。そのため、障害者福祉に関わる主要八団体は、自己負担の導入など共通して課題と考える部分は協調して行動をとることができた一方で、法律の成立を求めるか否かという根幹的な部分は足並みが乱れた。他方、障害者自立支援法の修正の過程では、障害者団体は分裂しつつも、政権与党と厚労省を中心にしてデモンストレーション・シンポジウム、裁判、要望活動などを展開した。その結果、応益負担の「廃止」という踏み込んだ決断を自公政権から引き出すことに成功した。障害者団体が政治環境の変化を上手く利用し、自らの要望を叶える過程であったと言うことができる。

収録刊行物

  • 国際日本研究

    国際日本研究 7 167-181, 2015-03-02

    筑波大学人文社会科学研究科国際日本研究専攻

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