フランスにおける監査報告書の改革 : 「評価についての説明」の記載

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  • フランス ニ オケル カンサ ホウコクショ ノ カイカク : 「 ヒョウカ ニ ツイテ ノ セツメイ 」 ノ キサイ

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国際監査・保証基準審議会は,財務諸表に対する監査報告に係る『国際監査基準』である「独立監査人の報告書における監査上の主要な事項の伝達」(ISA701)を新設し,監査人に,実施した監査に関する情報を提供するために,監査上の主要な事項(KAM)を監査報告書に記載することを求めている。フランスでは,2003年から,監査報告書の有用性の向上を狙ってKAMに類似した「評価についての説明」の記載が制度化されている。フランスにおける10年余りの経験は,記載内容の過度の標準化・マンネリ化,情報提供の形式化を回避しなければ,そもそもKAMの記載を要請した根本的な問題である,「紋切り型監査報告書」からの脱却という目的を達成することはできないであろうということを示唆している。監査人の判断プロセスの理解に資する実質的な情報が提供されなければ,監査報告書の利用者には,KAMの記載が監査人による責任回避の手段とみなされてしまう恐れすらある。フランスにおける「評価についての説明」の記載実務の実態は,監査情報の充実に向けた課題を明確に示しているといってよい。そして,監査人および被監査会社のガバナンス機関に対しては,当該課題の解決に向けた責任ある対応を迫っているのである。

Journal

  • Economic Studies

    Economic Studies 65 (1), 21-32, 2015-06-11

    北海道大学大学院経済学研究科

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