11 十島村の居住空間の現在 -口之島を中心に-

書誌事項

タイトル別名
  • Living Spaces Today in Toshima-mura Focusing on Kuchinoshima

抄録

1930年代に、渋沢敬三が中心となって組織されたアチックミューゼアム同人は、鹿児島県十島村での調査において、いわゆる「アチックフィルム・写真」と呼ばれる多くの資料を残した。本稿は、それらの資料中のとくに写真を主な手がかりとして、十島村における居住空間の様態の変化を考察するものである。「アチックフィルム・写真」では、家屋やそれを取り巻く居住環境自体はおもな撮影対象ではなかったこともあり、それらの民俗資料はそれほど多くない。そこで、当該地域の家屋を中心とするいくつかの既往研究を参照しながら、十島村とくに口之島の居住空間と家屋の過去と現在を取り上げる。 最初に、十島村と口之島の地政学的概況を述べ、つぎに、文献資料をもとにして当該地域のかつての民家の形態を再考する。その後、国際常民文化研究機構によっておこなわれた現地調査において、現在の口之島住民に聞き取りをした結果を用いて、当時の家屋や村落がどのようなものだったのかを把握する。続いて、現在の口之島の家屋に関する実測調査やヒアリングに基づいて、口之島の過去から現在までの変化を跡づけ、さらにアチックミューゼアム同人の活動意義を、現在的文脈のなかに位置づけたい。

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