半側空間無視患者における,音の時間差と強度差との関係

書誌事項

タイトル別名
  • ハンソク クウカン ムシ カンジャ ニ オケル,オト ノ ジカンサ ト キョウドサ ト ノ カンケイ
  • Relationship between interaural time difference and interaural intensity difference in unilateral spatial neglect patients

この論文をさがす

抄録

脳血管障害による左半側空間無視(Unilateral Spatial Neglect,以下USN)患者20 例に対 して,音の方向感検査として時間-強さ取引検査を行い,USN 例の特徴について検討した. 本検査では左右どちらか一方向に偏倚した音像を呈示し,次に逆側の音の強度を徐々に上げ, 最初の偏倚した方向から音像が正中に戻ったと被験者が認識出来た時の逆側の音の強度差を 測定した.今回は時間差を4 段階に設定した.その結果,右偏倚条件においては設定時間差 が増えれば,音像を正中に戻すのに必要な強度差も段階的に増加した.しかし,左偏倚条件 では4 つの設定時間差に対する必要強度差に有意な差はみられず,設定時間差が増えても音 像を正中に戻すための必要強度差に変化はなかった.USN 例では聴覚課題においても右方 向への注意の偏りが存在すると考えられる.今回の左偏倚条件では,左偏倚の音像が正中方 向すなわち右へ移動する場合に,もとからあるUSN 本来の右方向への注意の偏りと音像の 右への動きが重複して働き,わずかな右への動きをより大きい動きと認識したと考えられる. その結果,必要強度差がまだ少ない段階で,実際には正中位に音像が達していなくても,そ の音像を正中と認識したと思われる.今回の左偏倚条件では,USN 例における聴覚課題での 障害がその反応に影響を及ぼしていたものと考えられる.

収録刊行物

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ