学校現場において生じる心理臨床的テーマ ―中学校における学校臨床実習を通して―

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  • The Theme of Clinical Psychology to Arise in School throughout Clinical Internship in Junior High School

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抄録

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本論文では,学校臨床実習において大学院生である実習生が中学校という学校現場で体験する心理臨床的テーマについて考察することを目的とした。筆者らが実習として赴いたA中学校で行った活動について,いくつかエピソードを挙げ,それぞれの活動から浮かび上がってきた心理臨床的テーマを検討した。その結果,『心理臨床における「枠」の感覚』,『ミクロな視点とマクロな視点』,『「存在すること」と「何かすること」』,『心理の専門性の曖昧さ,心理の専門家としてのアイデンティティ』の4つのテーマが抽出された。学校現場は大学附属の相談室とは異なり,心理臨床の「枠」を柔軟に組み替えていくことが求められる場であるため,実習生は戸惑うことが多いが,「枠」が定まっていないことにより「枠」の意味をより考えることになると考えられる。また,実習生の感じる居場所のなさは社会で働く上で感じるものでもあるため,大学院の実習で経験することは将来のために生きるものであると言える。そして,そのような実習生の学びを支える大学教員はプログラム化された内容と実習生の創造性に任せた内容とのバランスを考える必要があると考えられる。

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