「文章を書く力」をめぐる課題と指導 ― 大学一回生の作文分析から ―

抄録

本論文は、大学生の読み書き能力の低下が問題視されている中、「文章を書く力」の向上に向けて、その実態を明らかにし分析考察したものである。大阪府下の私立O 大学一回生を対象に小論文を書く力に関する実態調査をした結果、次のようなことが明らかになった。・ 語彙や文法、表記、書き言葉と話し言葉の乱用等の日本語についての基礎知識に乏しく、適切に言語を運用する力が乏しい。・相手や目的意識を持って筋道立った文章が書けない。・ 文章の要約や文章構成が不十分で、記述量が少なく指定された字数で文章が書けない。など、様々な課題があることが分かった。これらはいずれも文章を書く上で基本的な事項であり、小学校、中学校、高等学校にかけてくり返し学んできているはずである。にもかかわらず、定着できていないことになる。今後、それらの事項について、一層の定着を図るための手立てを講じることで「文章を書く力」の向上に繋がっていく。指導について、具体的な手立てを工夫し、実践を通してその有効性を検証することが課題である。

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