〈原著〉光干渉断層計による冠動脈内血栓性状識別についての検討

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抄録

[抄録]不安定プラークの破綻後に生じる冠動脈内の血栓形成が急性冠症候群の発症に重要な役割を果たすと考えられている.現在まで光干渉断層計(optical coherence tomography ; OCT)を用いた血栓性状識別に関する報告は少ない.本研究では,吸引カテーテルから得られた病理学的に性状評価できた冠動脈内吸引物と比較することによって, OCTの in vitroでの冠動脈内血栓性状識別能を評価した.急性冠症候群患者50例から得られた冠動脈内吸引物,計200標本を対象とし,病理診断を基準として,白色血栓,赤色血栓,黄色血栓に分類した.標本を診断基準作成用セット(n=30)と血栓性状識別能判定用セット(n=170)に分け,診断基準作成用セットから各血栓のOCT診断基準を作成した.白色血栓はシグナル減衰特性の乏しい内部が比較的均一な高シグナルセグメント,赤色血栓は減衰特性が強く,内部が不均一な低シグナルセグメント,黄色血栓は減衰特性が中等度で徐々にシグナルが減衰するシグナルセグメントを有し,内部に高シグナル粒状~線状影を伴うものとした.血栓性状識別能判定用セットに前述のOCT診断基準を適用し, OCTの血栓性状識別能を前向きに求めると,感度・特異度は白色血栓;83%・98%,赤色血栓;95%・93%,黄色血栓;97%・94% (全体一致率 χ=O.84) であった.我々が考案した血栓性状識別に関するOCTの診断基準を用いることによって, OCTは高い血栓性状識別能を示した.

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