〈症例〉術前診断に難渋した肝血管腫を伴う進行胃癌に対して術前化学療法が著効し組織学的著効を得た1例

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抄録

[抄録] はじめに近年の新規抗癌剤出現により, 進行癌に対するいくつかの集学的治療が行われているが, その一つとして術前化学療法+手術の有用性が報告されている. 今回我々は2型噴門部進行胃癌に対してTS-1/CDDPによる術前化学療法を施行した結果, 病理組織学的にCRを得た症例を経験したので報告する.症例67歳男性, 健診にて胃病変を指摘され,近医にてGIF施行したところ噴門部後壁に2型胃癌認めたため当科紹介となった. 経過当初, 画像診断で肝転移を伴う高度進行胃癌(T4aN1H1StageⅣ)と診断してTS-1/CDDPの化学療法を3クール施行した. 効果判定では主病変と所属リンパ節は著明に縮小したが, 肝病変は治療効果を認めず, 血管腫の可能性も出てきたため肝部分切除+胃全摘術を行った. 摘出病理標本では原発巣, リンパ節ともに癌細胞は認めず, 肝病変は硬化性血管腫であったため, pathological CRと判断した. 術後経過は良好で, 退院後adjuvant chemotherapyとしてTS-1内服を1年半施行, 26ケ月経過した現在, 無再発にて経過観察中である.

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