〈原著〉FDG-PET-N(-)切除可能進行食道癌における予後予測に基づいた術前治療の適応

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抄録

[抄録] 【背景】 我が国のStage II/III食道扁平上皮癌に対する標準治療は術前化学療法であるが、, 有効例は限られ, 術前治療の個別化が急務の課題である. 我々は先ず症例をPET positive LNsをもつPET-N (+)食道癌は切除可能であっても予後不良で術前化学療法の対象群とすべき群であると報告してきた. 【目的】 PET-N (-)群における予後不良の術前治療対象症例を明らかにする.【対象】PET-N(-)初発胸部食道扁平上皮癌で根治切除の62例で予後不良因子を検討した.【結果】無再発生存期間(RFS)に影響を及ぼすリスク因子を多変量解析した結果,pT3が唯一の独立予後因子であった.FDG-PETの集積値: SUVmaxは腫瘍量と相関を示すことから, pT3の術前予測における至適SUVmax値をROC曲線を用いて検討した. cut-off値6.12で感度100%, 特異度76.2%, P<0.001であった. PET-T SUVmax≧6.12(high)(n=30)および<6.12(low)(n=32)の2群に層別化して比較すると, PET-T high vs . low群でpT3率は66.6% vs .0%, 5年RFSは48.5% vs .83.3%(P=0.002), 総再発率は50.0% vs . 15.6%(P=0.004)とPET-T high群で有意に不良で, 領域リンパ節や遠隔臓器に再発を多く認めた(P=0.0036およびP=0.0014). 【結語】PET-N(-)のうちPET-T SUVmax≧6.12の症例は再発高危険群で, 領域内および血行性臓器再発が多いことから全身制御の必要な術前化学療法の対象群であることが示唆された.

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