<原著>びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫におけるSOX4発現の臨床的意義

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抄録

[抄録] びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma/DLBCL)は非ホジキンリンパ腫の中で最頻のサブタイプである. 本疾患に対しては, シクロホスファミド, ドキソルビシン, ビンクリスチン, およびプレドニゾロンの併用療法, いわゆるCHOP療法が長きにわたり標準治療法であった. しかし近年, CD20を標的としたキメラIgG1モノクローナル抗体であるリツキシマブがDLBCLに著効することが示され, これを加えたR-CHOPが現在では実質的標準治療となっている. 一方SOX4はSOXファミリーに属する転写因子である. これは未熟B/Tリンパ球の分化増殖に関わることが知られ, さらに成人T細胞白血病リンパ腫をはじめとする複数の悪性腫瘍においては癌遺伝子として作用する. しかしながらDLBCLとSOX4との関連については未だ不明である. そこで本研究ではDLBCLにおけるSOX4発現と治療応答性および予後との相関について検証した. 我々の集めたDLBCL 70症例の検討から, SOX4のタンパクおよびmRNAレベルでの発現量はともにR-CHOP応答性と負の相関を示した. また予後解析によりSOX4発現量はDLBCL患者の予後不良とも相関を示した. これらの結果よりSOX4がDLBCLの予後予測因子として有用である可能性が示された.

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