書誌事項
- タイトル別名
-
- Referring to Unfamiliar Food: Identification and Agreement in Japanese Taster Lunches\n
- ミチ ノ タベモノ エ ノ ゲンキュウ ノ シカタ : シショクカイ ニ オケル ドウテイ ト キョウカン
この論文をさがす
抄録
本研究では,日本語の話者は試食会で食べている物を同定(identify)したり,評価したりする際,未知の食べ物にどのように言及するかを考察する。「言及表現」は,食べ物,飲み物の名前の候補やその特質を表す表現とし,南(1974, 1993, 1997)の述語的部分の要素(動詞,名詞(+ダ),形容詞,形容動詞)と述語的部分以外の成分(Nハ(提題),Nガ(主語)など,Nニ,Nヲ,N+他格助詞)を含む。資料は,性(FFF,FFM,FMM,MMM)と年齢(30歳未満と30歳以上)で組み合わせた,3人の友人同士からなる試食会のビデオコーパス(総数は13)(ザトラウスキー2011, 2013, 2014c,d, 2015a, b, Szatrowski 2014a, b)である。分析では,日本語による試食会で食べ物を同定/評価する際,1)未知の食べ物に言及するのにどのような表現が用いられるか,2)未知の食べ物に言及する言及表現はほかの参加者にどのように受け入れられるか受け入れられないか,3)またその言及表現の交渉は人間関係にどのように影響を与えるかという3つの観点から考察する。分析結果として未知の食べ物について話している際,明確な言及表現のほかに,省略したり,手や人差し指で指す指示的な身ぶり等の非言語行動によって言及することが見られた。言語による言及表現は,「これ」「こっち」の指示代名詞,「この+N(名詞)」のような言語形式のほかに,具体的な内容を表す表現があった。参加者同士が相手の言及表現に対し,相づちを打ったり,同じ言及表現かそれに類似した言及表現を用いたりして同意を示すことで相手の言及表現を受け入れた。類似した言及表現を用いる際,未知の食べ物は何であるかの同定のほかに,特に笑いを伴う場合,言葉遊びで共感し,親近感が増すことも観察された。本研究により述語的部分の要素や複数の参加者の発話を含めて考察することで従来の「指示表現(referring expression)」の研究が深まったと考えられる。
収録刊行物
-
- 国立国語研究所論集
-
国立国語研究所論集 (11), 93-115, 2016-07
国立国語研究所
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390009224767942656
-
- NII論文ID
- 120005776835
-
- NII書誌ID
- AA12536262
-
- ISSN
- 21861358
- 2186134X
-
- NDL書誌ID
- 027587689
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- IRDB
- NDL
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可