下垂体腺腫のMRI所見と病理組織学的所見による再増大予測因子の検討

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  • Research of predictive factors for regrowth with magnetic resonance imaging and pathological findings after endoscopic transsphenoidal surgery of pituitary adenoma

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抄録

論文(Article)

【背景】下垂体腺腫は、部分摘出による減圧のみでも再増大までの期間が長いため、機能予後は比較的保たれると考えられ、低侵襲な手術が行われて来た。一方、神経内視鏡や手術機器の開発により、操作の幅が広がるにつれ、拡大手術が行われるようになって来ている。しかし、海綿静脈洞内の腫瘍摘出に際しては、血管や神経の損傷により致死的合併症やquality of life (QOL) の低下を生じる危険性はむしろ高くなっており、腫瘍をどこまで摘出するか未だ一致した見解は得られていない。この問題を考えるため、これまでには行われていない病理組織学的およびMRIのT2強調像の所見から、下垂体腺腫の再増大の予測因子を検討したので報告する。 【対象と方法】2008年7月から2014年3月までの下垂体腺腫の手術症例のうち、MRI及び病理組織像の評価が可能な79例を対象とした。MRIにてT2強調像の所見を特徴的な4 pattern (salt & pepper pattern, rain drops pattern, homogeneous pattern, heterogeneous pattern) に分類し、79例及び残存29例における臨床経過、MRI所見、病理組織学的所見について検討した。 【結果】homogeneous patternはsalt & pepper pattern・heterogeneous patternより病理組織学的に間質量が有意に少なく、salt & pepper patternよりMIB-1 labeling index (LI) が有意に高かった。また、臨床経過で再増大を示した群でMIB-1 LIが高い傾向にあり、間質量が有意に乏しかった。 【考察】病理組織学的に間質量の乏しい症例は再増大する可能性が高いことを初めて明らかにし、術前のT2強調画像所見及び術中迅速診断での間質量の評価により、再増大を予測することが可能であることが示唆された。術前・術中に再増大の危険性が評価されれば、海綿静脈洞を含む、鞍外に伸展した腫瘍を摘出する拡大蝶形骨洞手術の適応を決めることが出来ると考えられた。

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