精神障害者の障害年金受給と将来の就職との関係-障害年金に関わりをもつ社会保険労務士からの調査を通して-

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抄録

 精神障害者や家族は,障害年金受給が,将来の就職に影響するのではないかと危惧している実態がある.それは,精神障害者が障害年金を受給していることが事業主に知られてしまうと,たとえ現時点において,経済的に困窮していたとしても,安心して精神障害者は障害年金を受給できない,というものである.これらの不安が解消されれば,精神障害者は障害年金の受給につながることになる. そこで本稿では,障害年金に関わりをもつ社会保険労務士からの調査を通して,このことを明らかにすることにした.なぜなら,社会保険労務士は,近年障害年金を専門にする者が増えていることに加えて,顧問という形で事業所に関わり,事業主から人事の相談を担いうる等,障害年金と事業所の双方に精通していると考えられるからである.そして,調査の結果,従業員の障害年金受給は制度的に,事業主に知られるものではないことがわかった.また,精神障害者が就労において求められるのは,障害年金の受給の有無という論点よりも,就労への取り組み姿勢を含めた労働の中身や,労働の継続性が大切であることの示唆を得ることができた.さらに,本稿を通して新たに得られた事柄は,以下のことである.それは,精神障害者や家族は,職に就くという「点」に注目することが多いが,豊かな人生を送るために働くという論点で捉えれば,自分のことを理解してくれる事業所で,いかに自分に合った働き方をするかという「曲線」で捉えることが大切だというものである.本研究では,このように働くことに関する新たな視点に辿り着くことができた.

収録刊行物

  • 日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University

    日本福祉大学社会福祉論集 = Journal social Welfare, Nihon Fukushi University 135, 23-34, 2016-09-30

    日本福祉大学社会福祉学部

各種コード

  • NII論文ID(NAID)
    120005854734
  • NII書誌ID(NCID)
    AA11400425
  • 本文言語コード
    JPN
  • 資料種別
    Departmental Bulletin Paper
  • ISSN
    1345-174x
  • データ提供元
    IR 
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