異常卵殻の走査電子顕微鏡下の構造

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  • Scanning Electron Microscopy on the Structure of Abnormal Hen's Eggshell
  • イジョウ ランカク ノ ソウサ デンシ ケンビキョウカ ノ コウゾウ

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抄録

本研究は数種の異常卵殻の微細構造を走査電子顕微鏡下で調べた。観察は10%硫化ソーダで卵殻から有機質を除いた試料で行った。主な所見は以下のとおりであった。 (1) 皺状卵殻(corrugated shell)の卵殻皺の隆起部の構造は正常であったが,隆起部の間の溝状部では乳頭層の異常が顕著であり,同時に海綿層の形成不全を伴っていた。 (2) 疣状卵殻(pebbly-textured shell)は2型に大別された。一つは外卵殻膜の上に有機性凝塊が沈着し,これによって卵殻石灰質層が隆起したものであった。卵殻乳頭層に有機性凝塊に対応する大きさの陥没部が形成されており,この部の乳頭突起は異常であった。他の一つは卵殻海綿層に有機物凝塊が沈着し,これによって海綿質が隆起したものであった。海綿質層に有機物凝塊に対応する空洞が形成されていた。両者いずれの場合にも隆起部の卵殻質は粗雑であった。 (3) 斑状卵殻(mottled shell)は卵殻構造は正常であったが、卵殻質は卵殻表層と海綿層が散在的に粗雑であった。 (4) ヒビ割れ卵殻(checked shell)は乳頭層に裂け目を生じていた。裂け目は海綿層の深層に達していたが,上層では完全に修復されていた。 (5) 薄殻(thin shell)は2型に大別された。一つは海綿層の形成過程に産出されたものであり,粗雑な卵殻質を有するものであった。他の一つは卵殻質は緻密であるが,乳頭層に欠陥があって海綿層が正常の厚さに達し得ないものであった。 (6) 軟卵殻(soft shell)は乳頭層の形成過程において放出されたものであり,発達中の乳頭突起だけからなっていた。 (7) 外観的異常を伴う卵殼は共通的に乳頭層が異常であった。乳頭層の異常は乳頭突起の乳頭核の異常に起因していた。

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