インド北東地方の生態環境と多民族社会 : アッサム州ブラマプトラ川渓谷の事例より

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タイトル別名
  • Ecological Environment and Multi-ethnic Society in Northeast India : A Case Study in the Brahmaputra Valley in Assam
  • インド ホクトウ チホウ ノ セイタイ カンキョウ ト タミンゾク シャカイ : アッサムシュウ ブラマプトラガワ ケイコク ノ ジレイ ヨリ

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抄録

本稿はインド北東地方,アッサム州ブラマプトラ川渓谷低地部における多民族社会の存立要因について,地域固有の生態環境とそれを基盤とした生業活動の観点から明らかにすることを目的とする。ミクロレベルの生態環境と対応させるために,既存研究で利用されてきた県・郡単位の統計データではなく,村落レベルのセンサスデータと現地の聞き取り調査を組み合わせて民族別の村落分布状況を調べた。その結果,調査対象としたブラマプトラ川渓谷東部のロキンプル県では生態環境の差異に応じて各民族がゆるやかに住み分けていることが判明した。各民族が居住する村落周辺の生態環境の差異は村落構造のみならず生業活動にも影響を与えている。アホムとミシン,スティヤという異なる民族の村落での観察により,生業活動の季節差,必要労働力の差,土地利用の差を利用する形で,人・家畜の往来,労働サービスの提供が村落間で生じていることが分かった。従来のアッサム州社会の研究では各民族の固有文化や社会慣習,宗教などが注目されていたが,新たに生態環境を基に地域を捉え直す視点を導入することで多民族社会の存立要因を明らかにし,現代的な課題の解決に貢献できる可能性があると思われる。

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