境界の詩人-マーク・ストランドのAlmost Invisible-

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タイトル別名
  • キョウカイ ノ シジン : マーク ・ ストランド ノ Almost Invisible
  • The Poet at the Border : Mark Strand's Almost Invisible
  • The Poet at the Border : Mark Strand's Almost Invisible

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抄録

type:Bulletin

最終詩集となったAlmost Invisible (2012)でマーク・ストランドは,前作までとは異なる趣旨で表題を付けているように思われる。本稿は,表題の意味と詩人の意図について考察する。詩集の全47 作の中から14 作品を例に取り上げ,3種類に分類して解釈した上で,表題の「ほとんど見えない」の意味を各作品について考察した。その結果,次のように解釈した。1)行き先不明の旅を扱った詩では,自己の居場所を探す旅人が,境界の「ほとんど見えない」中間領域に留まっている。2)帰宅を描いた作品では,仕事に疲れて帰宅した人が,家でも空虚な気持ちを満たすことができず,自己の居場所が「ほとんど見えない」。そして3)詩人の創造力の輝きが暗闇の中で薄れていき,やがて「ほとんど見えない」状態になる。Almost Invisible は,多義的で「ほとんど見えない」境界にいる詩人が,自己の胸中を作品化した詩論だと言えよう。

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