「羞恥心を伴う看護・ケア」における困難さと将来展望の現状について : 男性看護師の属性に着目して

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タイトル別名
  • The difficulties of nursing and caring by following to sense of shame, and the current situations of prospects for the future “Focused on male nurse”

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抄録

[目的]平成26年現在、日本の全看護師数に占める男性看護師の割合は1割に満たしておらず、看護実践上で困難を抱いていると考えられる。なかでも、異性に対する羞恥心を伴う看護・ケアは看護実践上で大きな困難となっている現状にある。また、近年医療の高度化や人々の多様なニーズが変化する中で、看護師のキャリアアップの必要性が増している。そこで本研究は①A県内の男性看護師が看護実践上で抱く羞恥心を伴う看護・ケアにおいて、個人属性に着目してその傾向を明らかにすること②男性看護師の将来展望の現状について明らかにすることを目的とした。[方法]A県内の27施設(約200床以上)に所属する男性看護師471名を対象とし、先行研究5)、7)、8)をもとに作成した調査票を用い、郵送法にて調査を行った。調査内容は、個人属性、看護実践上での困難、キャリアアップ志向および自由記述である。看護実践上での困難については、①職場環境②看護業務③日常的ケア④羞恥心を伴う看護・ケアの4つのカテゴリーについて調査を行った。分析は記述統計を行い個人属性による有意差(p<0.05)を求めた。本研究は、山口県立大学生命倫理委員会の承認(27-41)を得た。[結果]270名からの回答を得たが、そのうち有効回答は214名(79.2%)であった。対象者の平均看護師経験年数は9.7±7.2年、職位はスタッフが88%、所属は一般病棟が48%と最も多かった。個人属性による比較では精神科に所属する男性看護師は一般病棟と比べ、「羞恥心を伴う看護・ケア」の平均得点が有意に高く、より困難を感じている傾向がみられ(p<0.05)また、羞恥心を伴う看護・ケアの中で「女性患者の羞恥心を伴う看護・ケアにおいて拒否されたことがある」者は85.9%であった。キャリアアップ志向の中で「認定・専門看護師等の資格取得を希望する者」は33.6%であった。将来展望では、「看護職としての将来の展望を持っている者」は53.7%であり、その内の92.2%が臨床を通じて自分の興味のある看護分野との出会いを有していた。一方で、「将来の展望を持っていない者」46.4%は、興味のある看護分野との出会いがあった者は39.3%と低い数値を示していた。[結論]A県内の男性看護師で精神科に所属する者は、「羞恥心を伴う看護・ケア」に対し、困難感をより感じている傾向が示唆された。将来の展望を持っている者の約9割は臨床を通じ興味のある看護分野との出会いを有していた。

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