カナー型自閉症における「ライフステージ別の状態像」について

抄録

発達障害は、大きく知的障害のグループと自閉症を中核とするグループに分けられる。後者の自閉症を中核とするグループの3/4は知的障害を伴うタイプである。これを単に「自閉症」と呼んだり、提唱者の名前をつけてカナー型自閉症と呼んだりする。一方、自閉症を中核とするグループの残りの1/4は知的障害を伴わない或いは軽い知的障害があるタイプである。知的障害を伴うタイプの発達障害は、通常、特別支援学校(知的障害)や通常学校の特別支援学級(固定式)に所属しているため、一般の教師が担当になることは少ないが、通常学校の通常学級や小中の特別支援学級(通級式:通級指導教室)の担任で問題となるのは、知的障害を伴わない或いは軽い知的障害がある発達障害児である。具体的には、アスペルガー症候群、高機能自閉症、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)などである。この内、本研究では自閉症を中核とするグループ、すなわち自閉症スペクトラムに焦点を当てる。なお、本稿では、「カナー型自閉症」について、特に「教育心理学」の視点からライフステージ別の状態像を論じた。具体的には、(1)乳幼児期(0歳から6歳くらいまで)[自閉的しぐさと感覚①自閉的視行動、②耳ふさぎ、③全身の動き、④感覚的特徴][対人関係の特徴=対人的相互関係][遊びと言葉①遊び、②興味の限局化、③言葉][心の動き①情動、②パニック・自傷、③同一性保持の傾向]、(2)学童期(6歳から12歳くらいまで)[行動面][言語面][認知面]、(3)思春期・青年期(13歳から18歳くらいまで)[改善されやすい点][改善されにくい点]・(4)成人期以降(18歳以降)[高機能群][中機能群][低機能群]を順次、検討・考察した。

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