Swinburne’s Existential Individualism: His Poetry and Aesthetics in Relation to Romanticism and its Legacies

抄録

ヴィクトリア朝の詩人のなかで、正面からロマン派思想を受け止め、純粋な形で発展させたのは、スウィンバーンであるという主張を、スウィンバーンの美意識と実存主義にも似た思想の両面を分析することで論じたもの。スウィンバーンの評価は前期の官能的、退廃的な詩に集まることが多いが、拙論ではキャリアを通した詩作品の特徴をその思想的面を含んだ形で捉え、特にロマン主義との関連において議論する。スウィンバーンの印象主義的な美意識は、ペイターなどの同時代の文人と共通する部分もあるが、ロマン派文学から影響された理想主義や個人主義などと相まって、より実存主義的な方向性を向いている。その方向性は、ロマン派が限界とした現実と理想との乖離を乗り越えるための思想と見ることができることを、多様なテキストを渉猟しながら示した。

本論文は「九州地区国立大学教育系・文系研究論文集」Vol.3, No.1(2015/10)に査読を経て受理された。

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