孤束核および最後野のニューロン活動に対する血糖値上昇の影響

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  • Effects of hyperglycemia on neuronal excitability in the nucleus tractus solitarius and the area postrema

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抄録

生体内における脳幹部ニューロンのグルコース受容性を検討する際に,血糖値の経時的変化と脳幹部のニューロン活動を同時に定量評価した知見が必要であった.そこで本研究では,グルコースを腹腔内投与することによって人為的に血糖値を上昇させ,その時の孤束核および最後野ニューロン活動の変化をc-Fosタンパクの発現を指標にして定量評価を行った.24時間絶食させたSD系雄性ラット(体重250-500 g)に,1.1 Mグルコース含有生理食塩水または生理食塩水を腹腔内注射(10 ml/kg 体重)して,経時的に血糖値を測定したところ,血糖値は速やかに上昇し,投与して15分後には最大になり,90?120分後には下降して正常値へ戻った.グルコース溶液または生理食塩水を腹腔内注射して2時間後にウレタン麻酔下にて潅流固定を行い,脳を摘出して厚さ35 μmの前額断標本を作成し,c-Fosタンパクの免疫染色を行い解析した.c-Fos陽性細胞数を計測した結果,孤束核では,生理食塩水を投与した対照群に対してグルコース投与群においてc-Fos陽性細胞数の有意な増加を認めた.最後野では,グルコース投与群においてc-Fos陽性細胞数の増加傾向を認めたが,統計的有意差は認められなかった.これらの結果から,血糖値上昇によって,孤束核では多数のグルコース応答性ニューロン,または血糖値上昇に伴って二次的に増加した食欲関連ペプチド等に応答するニューロンの活動が亢進したことが示唆された.また,グルコース投与により生じる最後野ニューロンの活動は,孤束核と並行して変化しないことも明らかとなった.

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