On the trail of The Last Samurai (I) : Taranaki

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抄録

本研究ノートは、2003年公開の映画『ラストサムライ』に関連する場所でのフィールドワーク記録を、3編の連続する研究ノートとしてまとめたうちの「その1」である。『ラストサムライ』は、ニュージーランドの国家観光プロモーションにおいて、フィルムツーリズムとして重要な位置を占めている。それにもかかわらず、実際に映画が撮影されたタラナキ地方においては、現在、同作品に関連する観光プロモーションは行われなくなっている。筆者は、『ラストサムライ』ツーリズムが現地で持続的に展開しなかった理由を明らかにするため、2017年8月、カスタマイズ型のガイドツアーに参加する形で、主要なロケ地を巡る現地調査を行った。その結果、『ラストサムライ』ツーリズムが商業的にうまくいかなかったのは、タラナキへの交通アクセスやタラナキの旅行目的地としての魅力に起因するというよりも、むしろ「場所」と「コンテンツ」との関係性が希薄であった(タラナキは、明治時代の日本を撮影するためのランナウェイ・ロケーション=代理ロケ地)ことに起因することが明らかとなった。また、映画が公開された2003年には、映画に関連した観光事業が大きな盛り上がり見せている。このことから、『ラストサムライ』ツーリズムが持続的に展開しなかった背景については、地域が『ラストサムライ』関連のツーリズム振興の機会をつかむことに失敗した点より、むしろ当初、地域側が『ラストサムライ』ツーリズムに対し過剰な期待を持ってしまった点に、より大きな問題があったことが示唆された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1050282814034424320
  • NII論文ID
    120006586000
  • HANDLE
    2115/73105
  • 本文言語コード
    en
  • 資料種別
    departmental bulletin paper
  • データソース種別
    • IRDB
    • CiNii Articles
    • KAKEN

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