精神障害者の就労と生活に関する実態− 労働世代の気分障害と神経症性障害を中心とした後方視的調査 −

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タイトル別名
  • A survey on actual conditions of employment and daily life in patients with mental disorder-Retrospective study focusing on mood and neurotic disorders of labor generations -

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抄録

気分障害や神経症性障害により,就労能力のある多くの患者が休職や退職に至ることは,深刻 な社会問題である.本研究の目的は,(1)気分障害と神経症性障害に罹患した労働世代の就労状 況および生活実態を把握すること,(2)対象者の就学期の体験および家族歴を分析し,就学者と 無職者間の心理社会的問題の違いを検討することである.精神科病院の患者133名のカルテより 後方視的調査を行った結果,「無職」が3割であり,低収入層もおよそ3割と推測された.また,睡 眠障害や消化器症状といった身体症状は,就労に関わらず多くの者が抱えていた.就労実態の違 いが生じる要因分析では,無職において転校・不登校経験,未婚・離婚歴がそれぞれ有意に多かっ た.このような労働世代の精神障害者に対する支援を行う際は,治療と並行して就労支援を行い,就 学期から継続する心理的問題や,家族環境も視野に入れた心理・社会的アプローチが重要である.

収録刊行物

  • 最新社会福祉学研究

    最新社会福祉学研究 14 45-53, 2019-03-31

    九州保健福祉大学大学院社会福祉学研究科

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