「自己」の感覚はいかにして生ずるか? --自己感をめぐる心理学的研究の概観と展望--

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書誌事項

タイトル別名
  • How Do We Feel the "Self"? Overview of and Perspectives on Psychological Research on the Sense of Self
  • 「 ジコ 」 ノ カンカク ワ イカニ シテ ショウズル カ? : ジコカン オ メグル シンリガクテキ ケンキュウ ノ ガイカン ト テンボウ

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抄録

人は日常的な体験を主観的に組織化し加工していくことで, その都度「自己」というまとまりを生み出していくが, こうした組織化の主体は自己感(sense of self)と呼ばれる。自己感の理論的体系化を初めて試みたのはStern(1985)であり, その実証にあたっては「被観察乳児 observed infant」(発達心理学の研究において乳幼児の行動観察から見出された知見)と「臨床乳児 clinical infant」(精神分析の発達理論に基づき遡及的に導出された知見)の統合が目指されていた。本稿では, Sternの理論に基づいて, 被観察乳児・臨床乳児それぞれの立場から近年の自己感研究の発展を概観した。また, 自己感の非定型な状態像として統合失調症と発達障害の2つを挙げ, その特異な体験についても取り上げた。被観察乳児・臨床乳児いずれの領域においても, 自己感は今なお重要なテーマとして注目されており, 現代の臨床実践における「自己」の問題を考える上でも有益な示唆を与えてくれるものであることがわかった。

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