<論説>ブルクハルトの『チチェローネ』とドイツ教養層のイタリア旅行 --初版索引と併読ハンドブックを手がかりとして--

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  • 森田 猛
    兵庫教育大学大学院学校教育研究科教授

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>Jacob Burckhardt's Cicerone as a Guidebook
  • Jacob Burckhardt's Cicerone as a Guidebook
  • ブルクハルトの『チチェローネ』とドイツ教養層のイタリア旅行 : 初版索引と併読ハンドブックを手がかりとして
  • ブルクハルト ノ 『 チチェローネ 』 ト ドイツ キョウヨウソウ ノ イタリア リョコウ : ショハン サクイン ト ヘイドク ハンドブック オ テガカリ ト シテ

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抄録

ブルクハルトの『チチェローネ』(一八五五年刊)は、体系的なイタリア美術史叙述として美術史学的観点から研究されることが一般的であった。だが、初版本に装備した特殊な索引と、序文で推薦された併読ハンドブックという二つの指定補助ツールの援用を勘案すると、この書が旅行「案内書チチェローネ」として設計されていたことがわかる。本稿は、『チチェローネ』のこの側面に焦点をあて、同書を通してブルクハルトが同時代の社会、文化に対して果たそうとした役割を歴史的観点から究明するものである。ブルクハルトは、ドイツ教養層の間で普及していた「グランドツアー」的なイタリア旅行に、一九世紀ドイツの非ヨーロッパ化、非歴史化現象に抗する文化的抑止力を期待した。『チチェローネ』はこの営為に対する支援のために著された。併読ハンドブックとの美術解釈上の相違にも、イタリア旅行の機能保全に対する彼の意思を看取することができる。

収録刊行物

  • 史林

    史林 102 (2), 309-343, 2019-03-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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