〈症例〉Submandibular approach により摘出した下顎含歯性嚢胞の1例

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  • A case of dentigerous cyst requiring submandibular approach

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抄録

[抄録]含歯性嚢胞とそれに伴う埋伏歯は口腔外科臨床においてしばしば遭遇する良性病変であるが,通常の摘出は病変の大きさに合わせて,口腔内からの粘膜切開や骨削除で行われる.しかし,病変の位置や大きさによっては口腔内から十分な視野が得られず,下顎管損傷をきたす可能性もあるため,口腔外からのアプローチにより確実な視野を得て,病変を遺残させずに摘出する必要がある.今回われわれは埋伏第3大臼歯の歯根が下顎骨舌側面から突出し,さらに下顎管との強い接触を伴った含歯性嚢胞に対して,submandibular approachで摘出を行い良好な経過を得たため,その概要を報告する.患者は63歳男性で,左側下顎歯肉腫脹を主訴に来院した.左側下顎臼歯部に軽度の腫脹を認め,画像所見にて下顎管下方に埋伏歯を伴う境界明瞭な類円形X線透過像を認めた.全身麻酔下にて顎下部から下顎左側第3大臼歯抜歯術および左側下顎骨良性腫瘍摘出術を施行し,現在は再発なく経過良好である.過去の文献検索により,含歯性嚢胞への感染や埋伏歯の形態などの要因が複合して,深部埋伏歯を伴う含歯性嚢胞が形成し得ることが示唆された.

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