頭頸部領域の非器質性疼痛に対するエスシタロプラムの早期効 果発現作用機序の推測 ―第2報― ~非器質性疼痛にはSSRI投薬が望ましい~

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抄録

われわれは、非器質性疼痛である舌痛症50例にエスシタロプラムによる薬物療法を試み、早期鎮痛効果の発現に対して、①5-HT増強による下降性疼痛抑制系の賦活、②下降性疼痛抑制系を介するopioid 受容体活性化、③扁桃体及び海馬支脚腹側部から側坐核への負情動ブロック、④5-HT1A受容体刺激による扁桃体の過活動抑制、⑤DA-phasic activity活性化の可能性の5機序を考察した。今回、早期に非器質性疼痛が軽快・消失した10症例の追跡結果を検討し、一部の再燃例から鎮痛効果が減弱する作用機序を上記①~⑤を基に考察した。その結果、④5-HT1A受容体刺激による扁桃体の過活動抑制と②下降性疼痛抑制系を介する opioid 受容体活性化の2項目を非器質性疼痛の抑制機序の主な作用と考えた。更に、非器質性疼痛の再燃には、ESCを反復投与したことにより、5-HT1A 自己受容体の脱感作による 5-HT 神経の活性化が起こり①、②、⑤の機序が効果減弱を来した可能性を推察した。

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