幼稚園教諭賃金の地域格差に見る少子化時代の女性活躍推進のジレンマ――保育者の労働環境におけるジェンダー不平等の実証分析

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  • The Dilemma Posed by Measures to Promote the Social Advancement of Women Evaluated from the Regional Disparity of the Salaries of Kindergarten Teachers: An Empirical Analysis of Gender Inequality in the Working Conditions of ECEC Teachers

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抄録

本稿では、少子化対策の枠組みで進められた女性活躍推進が、幼稚園教諭の賃金にどのような影響を与えたのかを定量的に明らかにすることを目的に、1980年から35年間、8 時点の都道府県別平均賃金データを活用した実証分析を行った。女性一般労働者に比べた幼稚園教諭の賃金水準は「男女雇用機会均等法」制定前夜の1980年代前半から、平均以下となり2015年に至るが、人口が少なく、もともと3歳未満児就園率の高い地域で低くなる傾向が明らかになった。さらに、2005年以降の幼稚園教諭の賃金水準は、女性が出産を経て就業を継続し、キャリアを重ねる傾向を強めている都道府県ほど低くなることが、マルチレベル分析の結果から観察され、女性活躍推進により生成されたジェンダー内格差の内側で、幼児教育の領域にも不平等が生み出されていたことが示唆された。

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