脳性麻痺児の粗大運動の発達を促すための自立活動の指導はどうあるべきか

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抄録

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近年、周産期医療の発達により、超早産児や超低出生体重児などの子どもも救命できるようになってきた。しかし、その反面、障害の重度・重複化した子どもたちが増加してきている事実がある。その重度・重複化した子どもたちの中で占める割合が高い疾患が脳性麻痺になる。脳性麻痺児の粗大運動については,約6歳までは成長するが、その後はプラトーになるという見解が示されている。また、その後の調査では、運動機能が重度な障害の脳性麻痺児では、8歳以降で粗大運動は低下していくことが発表された。このような事実を受けて、特別支援学校での自立活動の指導はどうあれば良いのかを、最近のリハビリテーションの知見と筆者の今までの指導事例とを比較検討しながら論じていく。 結論として、脳性麻痺児の粗大運動の発達を促すための自立活動における指導目標は以下のことを考慮して設定する必要があることが分かった。 ・運動機能が軽度な障害の脳性麻痺児では、「学校の教育活動全体を通じて行う自立活動の指導」が粗大運動の発達に効果的であること。 ・脳性麻痺児の運動機能の障害が重度化するに従って、「学校の教育活動全体を通じて行う自立活動の指導」から「時間における自立活動の指導」を中心とした自立活動へ移行していく必要がある。 ・脳性麻痺児の粗大運動の発達を促すには、課題指向型プログラムを重視した自立活動が有効である。そのため、設定した指導目標に対して、乖離した指導内容にすべきではない。 ・「時間における自立活動の指導」では、環境要因を重視しながら、指導目標である活動を行う必要がある。理想的には、目標とする活動を行う場所で「時間における自立活動の指導」は実施すべきである。それが難しい場合には、活動を行う場所と同じような擬似環境を設定し、その環境で実施することが望ましい。

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