悪性胸膜中皮腫に対する薬剤感受性の解析と治療戦略

  • 朴 智栄
    愛知県がんセンター中央病院呼吸器内科部 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科国際島嶼医療学講座
  • 小川 紫都
    愛知県がんセンター中央病院呼吸器内科部
  • 朴 将哲
    愛知県がんセンター中央病院呼吸器内科部
  • 清水 淳市
    愛知県がんセンター中央病院呼吸器内科部
  • 堀尾 芳嗣
    愛知県がんセンター中央病院呼吸器内科部
  • 吉田 公秀
    愛知県がんセンター中央病院呼吸器内科部
  • 谷田部 恭
    愛知県がんセンター中央病院遺伝子病理診断部
  • 関戸 好孝
    愛知県がんセンター研究所分子腫瘍学部
  • 樋田 豊明
    愛知県がんセンター中央病院呼吸器内科部

書誌事項

タイトル別名
  • Chemosensitivity in Malignant Mesothelioma; Future Strategy

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抄録

目的.悪性胸膜中皮腫の化学療法の奏効率は低く生存への寄与も明らかではない.本研究では悪性胸膜中皮腫の薬剤感受性の解析結果に基づいた新たな治療戦略の可能性について検討した.方法.悪性胸膜中皮腫症例から培養株の樹立を行い,MTT法を用い現在の第1選択レジメンであるシスプラチンとペメトレキセドの感受性の検討を行った.また,従来の悪性胸膜中皮腫に対するkey drugの1つであるアンスラサイクリン系の新規抗癌剤,アムルビシンの感受性についても検討を加えた.さらにシクロオキシゲナーゼ(COX)酵素阻害剤との併用効果についても検討を加えた.結果.シスプラチン,ペメトレキセド単剤で悪性胸膜中皮腫に対する増殖抑制効果が認められたが,アムルビシンの増殖抑制効果はさらに強い傾向を示した.さらに,COX-2阻害剤の併用により胸膜中皮腫細胞の増殖抑制増強効果が観察された.結論.薬剤感受性が低く難治性の疾患である胸膜中皮腫に対して,シクロオキシゲナーゼをターゲットにした新しい治療戦略やアムルビシンを用いた治療も今後期待される治療法になりうることが示唆された.<br>

収録刊行物

  • 肺癌

    肺癌 49 (4), 386-391, 2009

    特定非営利活動法人 日本肺癌学会

参考文献 (18)*注記

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