尿中剥離糸球体上皮細胞は糸球体硬化を予知する臨床的マーカーとなりうるか 糸球体硬化機序に関する仮説の提唱

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タイトル別名
  • Is urinary glomerular epithelial cell(GEC) a clinical marker for prediction of glomeruosclerosis? Proposal of hypothesis regarding a mechanism of gomerulosclerosis.
  • —Proposal of hypothesis regarding a mechanism of gomerulosclerosis—
  • —糸球体硬化機序に関する仮説の提唱—

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抄録

糸球体上皮細胞 (GEC) は非常に機能分化した細胞であるためにCytokinesisを伴う細胞増殖を起こしにくいとされている。また糸球体硬化につながる管外性病変の形成に重要な役割を演じていると考えられている。これらのことより我々は“尿中に剥離脱落したGECを算定すれば管外性病変や硬化性病変の進行を予測できる”という仮説を設定した。本研究ではこの仮説の妥当性を実験的半月体形成腎炎および小児期IgA腎症で検討した。ラットの腎不全に陥るような100%半月体形成腎炎では多数のGECが尿中に出現していた。経過中の全GEC数を算定すると60万個にもなり,これはラットの糸球体の総GEC数1,000万個の約6%に相当した。小児期IgA腎症患児では種々の程度に尿中にGECが出現していた。このうち2症例で経時的腎生検施行期間中の尿中GEC数を算定した。症例1では1,350万個のGECが脱落し,これは人の糸球体の総GEC数6億の約2%に相当した。さらにこの症例では管外性病変が進行しており,尿中GEC数より病変の進行を予測できた。一方,管外性病変の見られなかった症例2は尿中剥離数も少数であった。以上,小児期IgA腎症例,実験腎炎における尿中に剥離脱落したGECを算定し,管外性病変形成および進行についての我々の仮説の妥当性を検討した結果,経時的に尿中剥離GEC数を算定すれば糸球体硬化を予知できる可能性があるという結論に達した。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001204340506880
  • NII論文ID
    130000127742
  • DOI
    10.3165/jjpn.9.71
  • ISSN
    18813933
    09152245
    http://id.crossref.org/issn/09152245
  • Web Site
    https://search.jamas.or.jp/link/ui/1996217581
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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