原発性肺癌に合併した癌性心膜炎における心膜癒着療法の有用性

書誌事項

タイトル別名
  • Usefulness of Pericardial Sclerotherapy for Malignant Pericardial Effusion Associated with Primary Lung Cancer

この論文をさがす

抄録

目的.原発性肺癌に合併した癌性心膜炎における心膜癒着療法の有用性を明らかにする.対象と方法.1998年4月∼2008年10月までに,当センターで加療した原発性肺癌908例中,癌性心膜炎を合併した28例のうち,心膜開窓術を行った1例を除外した27例を対象とし,その臨床像,予後をretrospectiveに検討した.結果.男性20例,女性7例,平均年齢は61.3歳(38∼80歳).組織型は小細胞癌6例,腺癌16例,扁平上皮癌4例,その他1例であった.臨床病期はIII期が13例,IV期が14例であった.癌性心膜炎の治療は,心嚢穿刺のみが19例,心膜癒着療法が8例であった.心嚢穿刺の合併症は5/27例(19%)に認められ,左室穿刺の1例は死亡した.再貯留は癒着群ではなく,非癒着群の4/19例(21%)に認められた.また,癒着群(8例)は非癒着群(19例)に比較して癌性心膜炎診断後の生存期間が有意に良好であった(3ヵ月vs 1.2ヵ月: P=0.04).さらに,心タンポナーデ合併11症例においては,癒着群(4例)は非癒着群(7例)に比較して癌性心膜炎診断後の生存期間が有意に良好であった(4.6ヵ月vs 1.0ヵ月: P=0.015).結論.本検討では原発性肺癌による癌性心膜炎に対する心膜癒着療法の有用性が示唆されたが,最適な治療法の確立のためには,prospectiveな臨床試験の蓄積が必要であると考えられた.<br>

収録刊行物

  • 肺癌

    肺癌 49 (7), 994-998, 2009

    特定非営利活動法人 日本肺癌学会

参考文献 (11)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ