丹沢トーナル岩体における石英中のマイクロクラックから推定された古応力場の変遷と伊豆弧の衝突

  • 佐藤 隆恒
    早稲田大学理工学研究科地球・環境資源理工学専門分野 現所属:(財)鉄道総合技術研究所材料技術研究部
  • 高木 秀雄
    早稲田大学教育・総合科学学術院地球科学教室

書誌事項

タイトル別名
  • Paleostress history estimated from preferred orientation of microcracks in the Tanzawa tonalite body, central Japan and its relationship to the Honshu arc-Izu arc collision
  • タンザワ トーナルガンタイ ニ オケル セキエイ チュウ ノ マイクロクラック カラ スイテイ サレタ コ オウリョクバ ノ ヘンセン ト イズ コ ノ ショウトツ

この論文をさがす

抄録

丹沢トーナル岩体中の石英中のヒールドマイクロクラック(HC)およびシールドマイクロクラック(SC)の三次元方位分布ならびに流体包有物の形成条件の検討から,古応力方位とその変遷を推定した.HCおよびSCの全データの方位はNNE-SSW方向のσHmaxを示す.HCを構成する流体包有物のマイクロサーモメトリーから,丹沢周辺の地温勾配30~50℃/kmを考慮すると275~410℃,0.20~0.29 GPaの形成条件が推定され,K-Ar黒雲母年代の5~4 Ma頃にはHCは形成していた.丹沢トーナル岩体は1 Maの伊豆ブロックの衝突によって10℃の時計回りの回転を被っているため,マイクロクラック形成時にσHmaxはN-S方向であったと考えられる。丹沢トーナル岩体中の原位置応力測定でも同様のσHmaxが得られていることから,同地域の応力場は5~4 Ma以降,現在まで大きく変化していないと推察される.

収録刊行物

  • 地質学雑誌

    地質学雑誌 116 (6), 309-320, 2010

    一般社団法人 日本地質学会

被引用文献 (5)*注記

もっと見る

参考文献 (30)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ