肺内気管支嚢胞に発生した微小肺癌の1例

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タイトル別名
  • A Case of Microscopic Lung Cancer Arising from an Intrapulmonary Bronchogenic Cyst

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抄録

背景.非喫煙女性の肺嚢胞に合併する肺癌は比較的稀である.症例.70歳,女性で喫煙歴なし.2008年11月頃より咳が出現したため近医を受診したところ,胸部X線にて異常影を指摘された.胸部CTでは右中葉に,内部に液体貯留を伴う嚢胞性病変と一部に壁の肥厚がみとめられた.感染性肺嚢胞と肺癌の合併を否定できず,2009年1月,胸腔鏡補助下右中葉切除を行なった.術中迅速診断では慢性炎症所見のみで明らかな悪性所見はみとめられなかった.しかし,永久標本では肺内気管支嚢胞と器質化肺炎の周囲に多発点在性にBACとAAHがみとめられた.サンプリングしたリンパ節には明らかな転移はなく,現在術後11ヶ月で外来経過観察中である.結論.本症例は非喫煙女性の肺内気管支嚢胞に発生した微小肺癌であり,嚢胞に伴う慢性炎症が発癌の原因と考えられた.肺内気管支嚢胞には非喫煙者であっても肺癌が合併しうる可能性があることを認識し,切除には断端距離を十分とるなどの注意と慎重な組織学的検索が必要である.<br>

収録刊行物

  • 肺癌

    肺癌 50 (4), 342-346, 2010

    特定非営利活動法人 日本肺癌学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (6)*注記

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