血液透析患者のカルシウム・リン代謝における透析液カルシウム濃度の影響

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タイトル別名
  • Effects of dialysate calcium concentration on calcium-phosphorus metabolism in hemodialysis patients
  • ケツエキ トウセキ カンジャ ノ カルシウム リン タイシャ ニ オケル トウセキエキ カルシウム ノウド ノ エイキョウ

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抄録

血液透析における透析液カルシウム濃度は時代により変わりつつあるが,近年ではビタミンD製剤やカルシウム含有リン吸着剤がよく使用されることに伴い,カルシウム濃度2.5mEq/Lの透析液が好んで使われるようになってきた.当施設では2003年8月よりカルシウム濃度3.0mEq/Lの透析液を使用してきたが,2008年9月より2.5mEq/Lの透析液への変更を行った.血液透析患者のカルシウム・リン代謝に対して透析液カルシウム濃度の変化が及ぼす短期的な効果につき検討した.当科において血液透析を行っている81例(2008年9月現在)のうち,血液透析導入後6か月未満の症例,透析液カルシウム濃度を変更しなかった症例,透析液変更後8週のうちにカルシウム・リン代謝関連薬の処方内容変更を行った症例を除外した52例を対象とし,血清カルシウム値,血清リン値,カルシウム・リン積,インタクトPTH値の透析液変更前後での推移および,日本透析医学会ガイドラインにおける管理目標値達成率の変化を検討した.変更後8週以降は,カルシウム・リン代謝関連薬の処方内容変更を容認した.透析液変更後,それぞれ有意差をもって血清カルシウム値の低下,インタクトPTH値の上昇,血清リン値の上昇を認め,カルシウム・リン積は有意に上昇した.結果,カルシウム・リンの管理目標値達成率は低下したが,透析液変更8週目以降に処方内容変更を行った結果,それらのパラメータは有意に改善を示し,管理目標値達成率も透析液変更前とほぼ同等となった.透析液カルシウム濃度が変わっても,処方内容の調整によりカルシウム・リンの管理目標値にコントロール可能であると考えられた.

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