書誌事項
- タイトル別名
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- The cut-off value of serum undercarboxylated osteocalcin (ucOC) for vitamin K treatment in hemodialysis patients
- ケツエキ トウセキ カンジャ ニ オケル ビタミン K トウヨ カイシジ ノ ケッセイ undercarboxylated osteocalcin ucOC キジュンチ セッテイ ノ ココロミ
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抄録
骨粗鬆症では,血清undercarboxylated osteocalcin(ucOC)4.5 ng/mL以上はビタミンK(VK)不足とされ,VK投与が推奨されているが,血液透析患者では血清ucOCは異常高値を示し,VK投与の基準値が不明である.そこで,血液透析患者におけるVK投与開始の血清ucOC基準値の設定を試みた.血清ucOCを測定した血液透析患者54例で,血清VK,ucOC,osteocalcin(OC),intact parathyroid hormone(iPTH)を測定後,menatetrenone 45 mg/日の内服を開始した.投与後1か月(1 M)と3か月(3 M)にucOC,OC,iPTHを測定した.VK投与前の血清VK 2.36 ng/mL未満をVK不足群,血清VK 2.36 ng/mL以上をVK充足群と区分し,この2群間のROC解析から求めたVK充不足を判別するucOCのcut off値は,35.9 ng/mLが最適であった.VK投与後,VK不足群では,ucOC値はVK投与前の57.7±54.4 ng/mLから投与後1 Mで39.3±29.8 ng/mL,3 Mで40.9±35.3 ng/mLと1 M,3 Mで投与前にくらべ有意な低下を示した.1 Mから3 Mで変化はなく,投与したVKの効果は1 Mで定常化したと推測した.投与前後でOCとiPTHに変化はなく,ucOCの低下は血清VK値の上昇によると思われた.そこで,次に,血清ucOC上昇の因子に腎障害による蓄積や骨回転亢進も考慮するべきと考え,VK不足群においてVK投与前と投与後1 MのucOC値からucOCのcut off値の設定を試みた.投与前と投与後1 MのucOC値の2群間でのROC解析から求めた結果,VK投与の効果の定常化を判別するucOC値,すなわちその値以上ならばVKの不足が推測されるucOC値のcut off値は,36.2 ng/mLが最適であった.投与前のVK値およびVK投与前後のucOCの推移からの両者での検討で,ほぼ一致したucOCのcut off値を得た.ucOC 35 ng/mL以上の群では,ucOCはVK投与前の73.5±49.7 ng/mLから1 Mで50.9±26.1 ng/mLと有意に低下がみられ,投与前のVKが不足していた可能性が確認できた.実用的な数値としてucOC 35 ng/mL以上はVK不足の可能性があり,VK投与の適応と考えられた.
収録刊行物
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- 日本透析医学会雑誌
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日本透析医学会雑誌 43 (9), 769-777, 2010
一般社団法人 日本透析医学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204679849088
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- NII論文ID
- 10026713342
- 130000431888
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- NII書誌ID
- AN10432053
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- ISSN
- 1883082X
- 13403451
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- NDL書誌ID
- 10849203
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDL
- Crossref
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可