音響刺戟が内耳エネルギー代謝に及ぼす影響について

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タイトル別名
  • 音響刺戟が内耳エネルギー代謝に及ぼす影響について 特にグリコーゲン代謝を中心として
  • オンキョウ シゲキ ガ ナイジ エネルギー タイシャ ニ オヨボス エイキョウ ニ ツイテ トクニ グリコーゲン タイシャ オ チュウシン ト シテ
  • [Effect of the acoustic stimulation on energy metabolism of the inner ear, with special reference to glycogen metabolism].

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抄録

1. 目的: 騒音性難聴発症の様態を糖質代謝病態, 特に内耳グリコーゲン顆粒の消長という観点より組織化学的および電顕組織化学的に解明するために本実験をおこなつた.<br>2. 実験法: 使用したモルモツトは, 3群 ((1) 対照群, (2) 4000Hz, 110dB, 1日12時間, 20日連続音響刺戟群, (3) 4000Hz, 110dB 1日12時間, 40日連続音響刺戟群) に分けた.<br>光顕標本作成に際しては, 各群共ベスト氏カルミン染色および periodic acid methenamine 銀染色をまた電顕標本作成に際しては, Watson の方法による水酸化鉛染色および periodic acid methenamine 銀染色を施した. 更に光顕ならびに電顕標本のグリコーゲン顆粒をジアスターゼにより消化し, 該顆粒がグリコーゲン顆粒であることを確認した上で次の結果を得た.<br>3. 結果:<br>1) 対照群<br>(a) 外有毛細胞内グリローゲン顆粒は, 細胞質頭部に多く認められ, しかも上方回転程その分布量は多い<br>(b) 内有毛細胞では, 外有毛細胞に比較してグリコーゲン顆粒の分布量は, 極めて少ないが, 下方回転程多く分布し, 上方回転程少ない<br>(c) ラセン神経節細胞内にもグリコーゲン顆粒を認めたが, 上方回転程その分布量は多い.<br>(d) その他各回転の諸細胞にも, 極めて少量ではあるがグリコーゲン顆粒を認めた.<br>2) 音響刺戟群<br>(a) 第1回転および第2回転の外有毛細胞では, 対照群に比較してグリコーゲン顆粒は減少したが, 40日音響刺戟群において顕著であつた.<br>(b) 第1回転および第2回転の内有毛細胞, クラウジウス細胞, 内溝細胞および外溝細胞等の諸細胞, ならびに第3回転および第4回転の外有毛細胞をはじめとする諸細胞では, グジコーゲン顆粒の増加を認めた. 特に第3回転および第4回転の外有毛細胞では, 光顕的にグリコーゲン顆粒の大きさが大きく, しかも電顕的には, Rosette like glycogen が観察され, vesicle の増加等の所見からも該有毛細胞内での糖質代謝の亢進を推察させた.<br>3) グリコーゲン顆粒の形態は, 50Å程度の tonofilament から成る. 直径約200～250Åの顆粒であり, 対照群諸細胞では, Monoparticulate glycogen のみが認められた. 一方40日音響刺戟群の外有毛細胞, 内有毛細胞, ヘンゼン細胞, ライスネル氏膜, クラウジウス細胞等においては, 各々単独に存在する Monoparticulate glycogen と, その集合体を成す Rosette like glycogen の双方が認められた.<br>以上の結果およびそれらの病態生理学的意義について考按した.

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