椎骨動脈循環不全による脳幹部≪oculomotor system≫の障害に関する臨床的研究

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タイトル別名
  • 椎骨動脈循環不全による脳幹部≪Oculomotor system≫の障害に関する研究 とくにCervical spondylosisによる椎骨動脈循環不全症例を対象とした臨床的観察
  • ツイコツ ドウミャク ジュンカン フゼン ニ ヨル ノウカンブ Oculomotor system ノ ショウガイ ニ カンスル ケンキュウ トクニ Cervical spondylosis ニ ヨル ツイコツ ドウミャク ジュンカン フゼン ショウレイ オ タイショウ ト シタ リンショウテキ カンサツ
  • [Clinical study on the oculomotor disorders of the brain stem caused by circulatory insufficiency of the vertebral artery--with special reference to clinical observation on cervical spondylotic vertebral circulation insufficiency].

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抄録

脳幹の眼運動系は,周知のごとく,眼筋支配の諸神経核,内側縦束,大脳皮質からの下行路ならびに迷路,前庭神経核,小脳等からの上行路を含むものといわれ,機能豹に独立した系統と考えられている.さらに,この系統は,椎骨,脳底動脈系の血流量の変化に極めて敏感なものと推論されている.<br>本報告は,椎骨動脈の血流量が,頸部脊椎症の圧迫によつて障害された症例について,脳幹眼運動系を特異的に検索する検査法を用いて,眼運動系障害を研究したものである.<br>2.実験法症例は,男12例,女8例の計20症例で,年令は32才から71才までを含んでいる.全症例に対して,神経学的,神経耳科学的および神経放射線学的検索を行い診断を確定した.神経放射線学的には,両側椎骨動脈と両も側頸動脈を含む4-vessel arteriographyを行い,特に椎骨動脈系については,首の過伸展位,過伸展プラス左廻転位と右廻転位において撮影を行った.神経耳科学的には,自発ならびに注視眼振,頭位ならびに頭位変換眼振,視性眼振,視性運動性眼振(OKP),視性運動性後眼振(OKAN)および視標追跡運動(ETT)などを検査した.<br>3,結果検査成績を要約すると次のごとくである.<br>1)20症例中,発作性の回転性眩暈9例,浮動性眩暉5例の計14症例に特徴がみられた.また失神発作を示したものは3例あつた.なお,耳鳴ならびに難聴の随伴は1例にのみみられた.<br>2)Dix-Hallpike法およびStenger法によるFrenzel賑鏡下の自発眼振検査では,上眼瞼向あるいは下眼瞼向垂直性眼振,水平性ならびに輻輳眼振などなみとめた.頭位眼振検査では,方向固定性眼振(4/20例),方向交代性眼振(4/20例),垂直性眼振(s/zo例),その他(7/24例)などをみとめた.頭位変換眼振検査では,全例に垂直性眼振,垂直性眼振とともに水平性あるいは斜行性眼振の随伴をみとめた.3)視性運動性眼振,視性運動性後眼振,視標追跡運動(OKP,OKAN,ETT)などでoptokineticfusion limit(OFL)や眼運動機能の障害を示唆する種々の異常型を示した.これらの異常型は,椎骨動脈減圧術の術後経過とともに正常型に復帰することを知つた.<br>4)以上のように,Frenzel眼鏡下の自発ならびに注視眼振検査,視性運動性眼振検査,視性運動性観眼振検査,視標追跡運動検査などは,脳幹部の眼運動系の障害,ことに推骨動脈系の循環不全による機能障害をよく反映する有用な検査法であることを知つた.

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