肝内に多発小結節像を呈した犬回虫症の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of Toxocara cani infection with multiple hepatic nodules

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抄録

症例は53歳男性. 狩猟を趣味としており猪肉を生食する機会があった. 平成12年11月の検診で腹部超音波検査にて肝内に多発するSOLを指摘され精査目的で当科に紹介され入院した. 入院時検査所見では白血球, 好酸球, IgEが著明に増加していた. 腹部超音波検査, CT検査, MRI検査で肝内に多発する径1cmまでの結節をみた. SOLに対し超音波誘導下肝生検を施行. 好酸球浸潤を伴う肉芽腫の所見であった. ELISA法にて寄生虫抗体を検査し, 犬回虫に対し陽性であった. 寒天ゲル内二重拡散法では患者血清は犬回虫抗原に対し沈降線をみた. 以上より犬回虫幼虫による肝内への幼虫内臓移行症と診断し, メベンダゾール200mg/日を3週間投与した. 10カ月後の超音波, CT検査では肝内のSOLは消失したが白血球, 好酸球は若干の改善にとどまっている. 肝内に多発する小結節像をみた場合, 本疾患を念頭に置き診療する必要があると考えた.

収録刊行物

  • 肝臓

    肝臓 44 (5), 237-242, 2003

    一般社団法人 日本肝臓学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (15)*注記

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