Laurence-Moon-Biedle症候群の1剖検例

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タイトル別名
  • LAURENCE-MOON-BIEDLE SYNDROME; AN AUTOPSY CASE REPORT
  • Laurence-Moon-Biedle ショウコウグン ノ 1 ボウケンレイ

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抄録

Laurence-Moon-Biedle症候群の報告は,世界で約500例以上あるが,その剖検例の報告は少なく,欧米でも1967年までに18例にすぎない.本邦での剖検報告は,自験例を含めて5例のみである.症例は16才の男,出生時両側多趾症あり,次第に肥満が出現,学業成績悪く, 11才頃より網膜色素変性による視力低下が著明となつた.両親は従兄妹結婚.理学的に満月様顔貌,尖塔状頭蓋,心尖部全収縮期雑音聴取,腋毛・恥毛の欠如,陰茎短小,陰のう縫合不全あり.内分泌機能検査で,尿中17OHCS, 17-KSの低下, metopirone試験およびACTH試験での反応欠如,尿中gonadotropinの低下あり.糖負荷試験で,中等度の耐糖能低下とIRI過剰分泌, HGHおよびFFAの低値を, norepinephrine負荷試験で, FFAの反応低下を認める.第58病日,腎不全にて死亡.剖検で,間脳下垂体,甲状腺,副腎に形態学的な異常なく,腎は萎縮性で腎盂炎末期の像を示し,睾丸には精子形成を認めない.本邦,剖検報告例4例と比較し,本例は浅野ら,薄井らの症例と同様に,本症候群の6主徴を有する完全型で,いずれもが尿毒症で死亡している.病理学的には,性腺の発育不全と,腎病変が主な共通所見であつた.本例では,皮下脂肪の脂肪酸を分析し,パルミトオレイン酸およびオレイン酸の上昇が特徴的で,前述の血漿FFAの異常な反応とから,本症候群の肥満の成因として,組織内での脂肪合成の促進と, FFAの放出障害が示唆された.

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