Löffler心内膜炎を主病像とした好酸球性白血病の1剖検例

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タイトル別名
  • A CASE OF EOSINOPHIHC LEUKEMIA ASSOCIATED WITH LÖFFLER'S ENDOCARDITIS
  • Loffler シンナイマクエン オ シュビョウゾウ ト シタ コウサンキュウ

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抄録

生前に心生検,および血行力学的にLöffler心内膜炎を診断し,剖検にてその存在を確認し,さらに好酸球性白血病と思われる所見を認めた1例を報告する.症例は41才の男性自衛官.昭和46年7月頃より,労作時呼吸困難をきたし,他医にて貧血を指摘され,好酸球増多を伴う慢性骨髄性白血病としてbusulfanの投与を受けるも軽快せず, 50年8月,当科に入院した.入院時,外頚静脈の怒脹,腹水,下腿浮腫あり.肝・脾・リンパ節腫を触知した.貧血,血小板減少を認め,末梢白血球数58,800/cmmで, 78%の成熟好酸球増多と, 2%程度の幼若好中球の出現あり,著明な好酸球増多を伴う過形成骨髄像を示したが, Ph1染色体は陰性であつた.心は拡大し,胸水を認め,心電図にて心内膜下障害,心音図にて,心尖部と三尖弁領域に逆流性雑音あり.陽性静脈波,両心室内のtumor echoを認め,心脈管造影で著明な右房拡大,左右室腔の狭小化,腔内の隆起物の存在がみられた.剖検にて,心内膜線維症,および両心室巨大壁在血栓を認め, Löffler心内膜炎の像に一致し,さらに骨髄に幼若球を含む好酸球の腫瘍性増殖,肝・脾を主とする全身諸臓器への白血病性浸潤像を認め, Bentleyら, Benvenistiらのいうeosinophilic leukemiaに該当するものと考えられた.本例の好酸球は,細胞化学的所見,および電子顕微鏡学的所見より,通常の好酸球とは異質であり, Löffler心内膜炎と好酸球性白血病との関連に関与するものと思われる.

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